社会保険労務士法人 e-team
有限会社 e-team

給与について

賃貸住宅を社宅として借り上げ、従業員に貸与すれるとき、注意することは?

  1. 労働保険の場合(労働基準法含む)
    • 社宅や寮を無償で供与している場合、通常は賃金とはみなされません。
    • ただし、均等手当が支給されており、かつ貸与を受けていない者には均等手当が支給されていない場合は、一部が賃金として扱われます。
    • 貸与を受けていない従業員に対しても均等手当が支給されている場合、住宅貸与の利益が明確に評価されているため、評価額を限度として住宅貸与の利益が賃金として取扱われます。(例えば貸与を受けていない従業員に3万円を支給していれば3万円が賃金としてみなされる)
    • なお、均等手当の3分の1以上の額を住居の借料として徴収する場合、福利厚生施設とみなされます。
  2. 社会保険の場合
    • 住宅の利益は、都道府県ごとに定められた標準価額から本人負担分を控除した額が報酬(賃金)とみなされます。
    • 本人負担分が標準価額以上の場合、住宅の利益は報酬とはみなされず、福利厚生施設となります。
  3. 税金(源泉所得税)の場合
    • 従業員から1ヶ月あたり一定額の家賃を受け取っている場合は、給与として課税されません。
    • 一定額の家賃は、建物の固定資産税の課税標準額、総床面積による計算、敷地の固定資産税の課税標準額の合計金額から算出されます。
    • 実際に受け取っている家賃が基準となる金額の50%以上の場合は、差額は給与として課税されません。
      なお、特定の職業(看護婦や守衛など)では、必要な場合に限り特別に社宅や寮を提供する場合、それが給与として課税されない場合があります。

以上のように、法律によって社宅や寮の取り扱いは異なりますので、以下の点に留意し、賃金とならない範囲での徴収をおすすめします。

  • 労働保険の場合、均等手当の支給や貸与を受けていない者への均等手当の有無が賃金に影響します。
  • 社会保険の場合、標準価額と本人負担分に基づいて住宅の利益が報酬となるかを判断します。
  • 税金(源泉所得税)の場合、50%以上を家賃として徴収していれば賃金とならない。(おそらくこれが一番高い)

これらの注意点に留意することで、保険料や税金の計算において問題が生じるのを防ぐことができます。