法律・規則について
労働問題がおこったときの窓口はどのようなものがあるのですか?
人事労務管理の個別化や雇用形態の変化にともない、個々の労働者と事業主との間の紛争が増加しています。昔の労働組合などの団体交渉などと違い、解雇など個々rの労働者と事業主との間の紛争のことを個別労働紛争といいます。
こういう場合、監督署に駆け込むというのが一般的に知られている方法ですが、監督署はそもそも労働基準法、労働安全衛生法など行政法規に違反しているかどうかを取り締まるだけで、その解雇が有効か無効かといったようなことを判断する立場はありません。
たとえば次のようなものが個別労働紛争の対象となります。
☆解雇、雇い止め、配置転換・出向、昇格・降格、労働条件の不利益変更などの労働条件に関 する紛争
☆セクシャルハラスメント、いじめ等の職場環境に関する紛争
☆労働契約に関する紛争
☆募集・採用に関する差別的取扱いに関する紛争
対象とならない紛争には次のようなものがあります
★労働関係に関係しない事項の紛争(お金の貸し借り)
★労働組合と会社との間の紛争や社員と社員の間の紛争
★裁判で係争中であるまたは確定判決が出されえいる等、ほかの制度で取り扱われている法 律
★男女雇用機会均等法において女性に対する差別が禁止されている事項に関する紛争
→都道府県労働局雇用均等室で解決の援助
★労働組合と事業主との間で問題として取り上げられており、両者の間で自主的な解決を図るべく話し合いが進められている紛争
現在ではさまざまな法制定のもと、個別紛争の解決制度が用意されています。もちろん労働者も使用者も利用できます。
ここで代表的なものをみていきましょう。
都道府県労働局の行うあっせん | 労働審判(地方裁判所) | 社労士会労働紛争解決センター | |
根拠法令 | 個紛法 | 労働審判法 | ADR法 |
調整機関 | 紛争調整委員会(学識経験者等) | 労働審判委員会(職業裁判官と労使の専門家) | あっせん委員(社会保険労務士、弁護士) |
和解/あっせん成立率 | 36.1%(H20) | 80%(H21) | – |
平均調整期間 | 1ヶ月以内が54.1%(H20) | 2ヶ月超が64.3%(H20) | – |
費用負担 | 無料 | 有料 | 有料 |
相手方が不参加の場合の対応 | あっせんは不調となり終了 | 正当な理由なく出頭しないときは5万円以下の過料。相手が第一回審判期日に欠席すると申立人の申し立てどおりの審判が発せられる可能性が高い | あっせん手続きの終了 |
合意文書等の債務名犠牲 | なし | 調停調書及び異議申立のなかった審判書は債務名義となる | なし |
時効中断効 | あり(あっせん打ち切り通知受領後30日以内に提訴した場合 | あり | あり(あっせん打ち切り通知受領後1ヶ月以内に提訴した場合 |
このほか、労働組合(集団的労使紛争)があります。
近年では、組織率の低下にともない、合同労働組合といって、労働者が個人で退職後に労働組合に加入し解雇撤回、未払い賃金の請求を組合をつうじて団体交渉を申し込んでくるケースも増えてきています。