社会保険労務士法人 e-team
有限会社 e-team

法律・規則について

定期健康診断を実施しなければならないと聞いたのですが…

定期健康診断は労働安全衛生規則第44条において、「事業所は、採用時及び1年以内ごとに1回(有害な業務や深夜業等に従事する労働者については6ヶ月以内ごとに1回、定期的に次の項目の健康診断を行わなければならない」と定められています。

 

《健康診断項目》

  1. 既往歴および業務暦の調査
  2. 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査およびかくたん検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(赤血球数、血色素量)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

※45歳未満(35・40歳を除く)の者の聴力検査は、医師の判断により他の方法を用いてもよいことになっています。
心電図検査は、安静時標準12誘導心電図を記録します。

 

《医師が必要でないと認める場合に省略できる健康診断項目》

産業医又は健診担当医師が、個々の受診者について、健康診断を実施する時点の健康状態、日常の生活情況、作業態様、過去の健診結果等を総合して、省略しても問題ないと判断した場合にのみ省略することができます

  • 身長:20歳以上の場合
  • かくたん検査:胸部エックス線検査で所見のない場合
  • 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査:40歳未満(35歳を除く)の場合
  • 腹囲の検査:45歳未満(35歳を除く)者、妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が
    内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断される者、BMが20未満である者、BMが20未満であって自ら腹囲の測定をし、その値を深刻した者

 

《対象者》

実施の対象は、「常時使用する労働者」です。パートタイム労働者等については、1年以上 (有害な業務や深夜業等に従事する者については、6カ月以上)継続勤務する予定のもの又は1年以上(有害な業務や深夜業等に従事する者については、6カ月以上)総統勤務している者で、あって、1週間の労働時間がその事業場の通常の労働者の4分の3以上の者については、健康診断を実施しなければなりません。

 

《深夜業従業者の自発的健康診断》

常時使用され、6ヵ月を平均して1ヶ月当たり4回以上(6ヵ月に24回以上)の深夜業(午後10時から翌午前5時まで)に従事した労働者が自主的判断で受診できます。この場合費用は労働者負担ですが、申請により7500円を限度に4分の3の国の費用助成が受けられます。

 

《二次健康診断給付》

定期健康診断で脳・心臓疾患の下記の4つの検査すべてに異常所見が認められてた労働者は労災保険にて無料で二次健診と医師による特定保健指導を受けることが出来ます。

  1. 血圧
  2. 血中脂質
  3. 血糖
  4. 肥満度

なお二次健康診断を受けた労働者から、二次健康診断を受けた日から3月以内に二次健康診断の結果を証明する書面が提出された場合には、当該事業所は労働安全衛生法に基づき、医師などの意見を聴取し、就業上の措置を講ずる義務があります。

 

《健康診断の結果の記録》

事業者は、健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成し、5年間保存しなければなりません(安衛法第66条の3、安衛則第51条)。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場で定 期健康診断を行ったときは、遅滞なく「定期健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません(安衛則第52条)。

 

《結果についての医師等からの意見徴収》

事業者は、健康診断の結果、健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については労働者の健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を3ヶ月以内に聞かなければなりません。そしてその意見を健康診断個人票に記載しなければなりません。(安衛法66条の4 安衛則第51条の2)

 

《実施後の措置》

事業者は、事業者は医師などの意見を勘案してその必要があると認めるときは、労働者の事情を考慮し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置又は整備、衛生委員会もしくは安全衛生委員会又は労働時間等改定改善委員会への報告、その他の適切な措置をとらなければなりません。(安衛法66条の5)

 

《結果の通知》

事業者は健康診断の結果を労働者に通知しなければなりません(安衛法第66条の6 安衛則51条の4)。通知の範囲については、総合判定結果だけでなく、各健康診断の項目ごとの結果も通知しなければなりません。

 

《保健指導》

事業者は健康診断の結果特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対して、医師や保健婦又は保健士に保健指導を行わせるよう努めましょう。(安衛法66条の7)

 

《その他》

  • 健康診断の費用については、一般的には会社が負担しているところが多いですが、法律で義務付けられているものではありません。ただ、多くの事業所は業務命令をもって受診させるということから会社負担にしています。
  • 健康診断の実施時間の取り扱いについては、労働時間に入れても入れなくてもどちらでもかまいません。事前にスタッフ・従業員等と話し合い就業規則等に定めておくことをお勧めします。

 

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